パッチョくん
少し値の張る洋食屋やイタリアンに行くと、毎回メニューが分からない。
トマトとチーズを交互に並べた料理を「カプレーゼ」というのだと知ったのは、つい最近のことだ。
「ガスパチョ」なんて、ガス会社のキャッチコピーじゃないのか。火どころか冷製スープなんだからたまったもんじゃない。いや、私がそれで困惑することなどは、ガスパチョもパッチョくんも知ったこっちゃ無いわけだが。
ペリエとは何なのか。パンナって何なんだ。ビアンコとロッソってどういう意味なんだ。
全く分からない。お店によってはメニュー名の下に使用している食材や料理の簡単な紹介文を書いているが、分からないもんは分からないのだ。
ファミレスの、デカデカとスパゲッティの写真が載っているグランドメニューに慣れ親しんできた私は、美しいイタリックなセリフ体で書かれたメニューの前に為す術もないのだ。
悲しいかな、庶民の私は今日もサイゼリヤで「ドリア」を頼むのである。